私の好きな三大ボムス作品は(ポンダルを除外して)「明るい家族計画」「夢精期」
そしてこの「アリアン」です。
アリランは、SGWANNBEのMVですが、まるで一本の映画を見るような素晴らしさで、
ボムス自身もお気に入り作品です。
物語はある3人の、朝鮮戦争で引き裂かれた愛情と友情がテーマでした。
そして今日1950年6月25日、その朝鮮戦争が勃発しました。
それにちなんで、写真物語『アリラン』
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日本の統治から解放され、やっと韓国国民に幸福な時代がやってきた1940代も後半。
ソンス(ボムス)とミンギ(イ・ソンギュン)は、親友として大学生活を謳歌していた。
しかし二人は同じ女性セシ(オク・ジュヒュン)を愛してしまい、
彼女はミンギを選ぶのだった。
ソンスはあろうことか、親友ミンギの恋人であるセシと両親から見合いを勧められる。
儒教の影響の濃い韓国では、親の勧めを断ることも出来ず、ソンスはセシと夫婦になるが、
セシはやはりソンスに心を開かず、冷たい夫婦生活を過ごしていた。
そして・・・運命の1950年 6月 25 日午后4時 。
10数万の北朝鮮軍が,突然38度線を越えて韓国に侵攻してきた。
朝鮮戦争の始まりである。
38度線とは元来(日本敗戦後の)朝鮮半島の統治権をめぐる、
アメリカと旧ソ連の分割占領ラインであった。
1945年日本の敗戦。そして’48年8月13日李承晩による大韓民国成立。
同年9月9日、金日成を主席とする朝鮮民主主義人民共和国建国。
その両国を米ソが後押しする、
つまりその後世界をニ分する、資本主義×共産主義陣営の壮大な冷戦の開始でもあった。
ソンスは徴兵され、今は上等兵として戦場を駆け回っていた。
そして戦場で再会した親友ミンギは、敵である北朝鮮兵士となっていた。
6月25日に侵攻した北朝鮮軍は,いっきにソウルまで攻め入り、28日にはソウル陥落。
韓国軍は釜山まで後退してしまう。
韓国の窮状を受けて国連は16か国による、世界初の国連軍を編成し、
米・マッカーサーを国連軍総司令官として、韓国に派兵。
9月15日には仁川上陸作戦をはたしソウルを奪回。戦局はいっきに韓国に有利になる。
ところが10月、北朝鮮支援に、彭徳懐率いる中国人民解放軍が参戦。
その上マッカーサーが解任されることにより、国連軍は総崩れとなってしまい、
戦局は,一進一退こう着状態が続く。
避難民となったセヒは戦場で夫ソンスと再会し、夫婦として初めて心を通い合わせるも・・
朝鮮半島は、ほぼ全域が焦土と化し、
南北双方(含む米・中)の戦死者は400万人、離散家族1000万人、
という膨大な被害をもたらしたこの戦争は、
1953年 7月7日板門店により、休戦協定が成立することとなった。
米軍を慰問する、M・モンロー
朝鮮戦争は日本との関係も深い。国連軍総司令部は東京に設置され、
戦闘機は沖縄から離陸し、軍需品・兵器・車両の調達で、敗戦の不況から脱出し、
その後の経済大国への、足がかりとなすからである。
ちなみに、義父は中国軍軍医としてこの戦争に参戦し、医師として貴重な体験をする。
ところで「アリラン」は、朝鮮半島に伝わる民謡で、その節回しは種々あるが、
今日私達がよく耳にするアリランは、
1926年、日本統治時代に公開された映画「アリラン」の主題歌で、
日本への抵抗歌として、朝鮮半島全土に広がったものであった。
朝鮮戦争は1953年に休戦に到るも、2013年現在未だ停戦ではない。
朝鮮半島は38度線により分断され、世界でただ一つ、同一民族の分断国家という結果を招く
ゆえに、韓国は現在も戦闘体制にある国家であり、
青年男子には志願ではなく、徴兵制が課せられている由縁である。
・・・今もなお韓国・北朝鮮両国対立の根は深い。むしろ深まるばかりであり、
北朝鮮は世界を遠ざけるべく、孤国の道をたどっている。
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韓国では韓国戦争、
北朝鮮では祖国解放戦争、中国では抗美(アメリカ)援朝・・・と呼ばれる朝鮮戦争。
21世紀の現在をしてなお朝鮮戦争ならずとも、世界には戦争・紛争が絶えず、
貧困・環境破壊など、私達は様々な問題を抱えています。
その辛い現実があればこそ、
ソンスやミンギ、セヒの悲劇を二度と繰り返さぬように・・・
私が、あなたが、全ての人が幸福になるように・・・
たとえ国・民族宗教がちがえど、人々のこの願いは普遍でありましょう。
生きとし生きるもの全てに、幸あれ