なぜなら「アナーキスト」は、私の第2の故郷である192~30年代の上海が舞台だから。
中国語題名は「天地男たちの激進党員」 ・・・なんか凄い命名やなあ〜〜
そして、『アナーキスト』は、ボムスやチャン・ドンゴンを含めた5人の・・・
テロリストの物語です
ボムスはナイフの達人、トルソク役です。
映画は史実上の
義烈団をモデルにしています。
義烈団は、1919年11月、
日本の植民地支配からの解放、朝鮮独立を使命とした、民族主義的なテロ集団であり、
朝鮮総督府の爆破など、大小300ほどのテロ行為を行いました。
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さて・・・
この映画は中韓合作。
全て上海でロケ(さらばわが愛/覇王別姫、を撮った上海映画撮影所が撮影に参加している)
されたので、当時の上海の風俗習慣が比較的よく表現されています。
ということで、
映画『アナーキスト』を基にして、
簡単ながら上海の歴史、風俗を紹介したいと思います。
『租界だから、各国の軍隊がいる』〜〜とボムスが言ってます。
租界・・・というのは、治外法権と行政権のある外国人居留地のことですが、
上海租界は、アヘン戦争に勝利したイギリスが、南京不平等条約を下に、
1845年、中国の法律の及ばない租界を設立し、後アメリカが参入し共同租界となります。
’49年にはフランス租界が誕生し,強大な英米仏租界帝国が確立します。
つまりは中国人達は、中国に住みながら租界の支配国の法律が適用され、選挙権もなく、
でも税金はしっかりと徴収される、いう境遇になったのです。
1937年日中戦争により日本軍が上海を占領下におくと、英米仏租界は事実上封鎖され、
日本の全面支配が、1945年の日本敗戦まで続きました。
ちなみに・・・・
英米共同租界の電圧は110V。電柱は四角柱。
フランス租界は220Vで、電柱が三角柱。(現在は220Vで統一されています)
私が始めて訪れた当時は、こんな租界時代の電柱が至るところに残っており、
電柱は円柱だけじゃない、ということに驚きました。
電柱だけでなく、鉄道の軌道幅やあらゆる製品の規格がバラバラ・・・
これは、インドなどの植民地諸国によくある形態で、だから国の発展が疎外される。
日本はほぼ同一民族で教養レベルも高い、外国支配を受けたこともない。
などで製品の規格が統一されており、それが国の発展の大きい礎になるのですね。
・・・私にとって三角電柱は、
国がちがえば、民族・宗教・言葉だけでなく、文化が異なるのだ、
とアタマでなく、心で実感した最初のカルチャーショックでした。
国民党の兵士
この租界の事情から、上海には各国の軍隊が駐留しているわけですが、
その中心は中国政府の軍隊、国民党でした。
辛亥革命により1911年10月、中華民国政府が誕生し、初代大統領に孫文が就任します。
彼の後ろ盾が、蒋介石(後の台湾初代総統)率いる国民党です。
しかし国民党は、毛沢東率いる共産党勢力と対立し、
国共内戦を経て’49年5月、上海への共産党入場により解放を迎え、
蒋介石は台湾へ脱出し、そしてその年10月1日、
毛沢東を主席とする中華人民共和国が誕生するのです。
また租界ゆえ外国人も多く、チャン・ドンゴンは、ロシア人「セルゲイ」役でした。
チャン・ドンゴン いくらなんでも、ロシア人には見えへんで〜〜
租界最盛期の30年代には、上海の総人口は300万人を超え、
その中で外国人は15万人、国籍は58カ国にも及んだ、東洋一の国際都市でした。
租界末期には、日本人だけで10万人の人口になっています。
また、租界は中国の主権はないけれど、外国の植民地ではないので、
旅券、ビザなしで入国できる為に、ナチスの迫害を逃れ来たユダヤ人、
ロシア革命での亡命白系ロシア人(おもにロシア貴族)
そして、各国の革命家、ゾルゲ、男装の麗人川島芳子などのスバイが上海に集まるのです。
セルゲイの中国語訳は『吉爾塞』発音はジアールサイ。似てないぞ〜〜
本家のロシア語では、なんて発音するのかな?
ボムスが言う臨時政府というのは、大韓民国臨時政府のことです。
現在の大韓民国の前身になるものですね。
私の上海在住時は正直なところ、上海での韓国事情ということにあまり興味がなかった〜
'06年の資料では上海在住日本人45000人。対して韓国人60000人もいるというのに。
だからボムスつながりで、さっそく行ってきましたよ、韓国臨時政府へ。
今は建物ごと博物館になってます。
では、それは次回に紹介しま〜す。