日韓サッカー戦。PK戦で日本が勝利したが、ある韓国選手の態度に、後味悪さが残った。
しかし韓国民自身が、彼のスポーツマン・シップに欠ける態度を批判したことは、
その後味を爽やかにし、日韓関係の変化を実感した。
でも、韓国選手のアノ態度の背景にあるのは、
日本の侵略戦争への怒りだ、と選手自身で述べている。
あの戦争は過去のものだ、と仕掛けた側は思う。
けれどされた方は、終世忘れられないものだ。
人間の感情に、政治的な対処の仕様がない。
またその感情を政治的に利用し、それに躍らされるのも人の常である。
けれど今回の韓国人の対応のように、人間の感情だからこそ、人間の心情によって、
お互いの怒りや誤解は解けていくものだ。
人が、人と人の間に繋がりを持てば人間となって、心を動かすのだ、と思う。
...その課程は正直・生易しいものではない。怒り・涙にくれることもある・・・実感である
でも繋がりを持とうとするから、泣き怒るのだ。関心がなければ泣くこともないし、
泣く(ほど感情をぶつけあう)からこそ、双方の心が開くだ、と思う。
さて。過去ではなく現在進行中のことだが、それはソマリア沖の海賊問題。
21日。韓米軍が、ソマリア沖で海賊船に拿捕されていた韓国船を救出・掃討し、
韓国船長は負傷。海賊8名が死亡した。
ソマリア海賊により、韓国のみならず,日本や、
地中海・インド洋を往来する2万隻の世界の商船は膨大な被害を受けている。
海賊問題は、1980年に発生したソマリア内戦に始まる。
’60年代、イタリア・イギリスの植民地であったソマリアは独立。
しかし、6ケの部族・16の支流が権力争いにあけくれ、一時社会主義政権が誕生するが、
その独裁政治に反発が起き、ソマリア統一戦線・国民運動・国民戦線と3派が入り乱れ、
内戦状態勃発。虐殺・飢餓で死者30万人にものぼる。
’92年、それに対処するべくPKO(国連平和維持軍)が組織され、
アメリカを中心とした22カ国が軍事介入するも、ソマリア内の抵抗勢力は強く、
ついには撤退してしまう。
その後アフマド暫定政権誕生後、現在に至るも内戦進行中である。
ブラックホーク・ダウン
1993年10月3日のソマリア。
米軍特殊部隊タクスフォースが
ソマリア統一戦線率いる、
アイディート将軍一派を一掃するため
敵地に突入するも、
米軍ヘリ=ブラックホーク2機が
撃墜され、18名の兵士が死亡。
73名が負傷。アメリカ軍は、
ベトナム戦争以来の戦死者を出す。
一方ソマリア側は、1000名の犠牲者
この作戦の失敗により、
米軍はソマリアより
撤退を余儀なくされた。
実話に基づく映画である。
そして海賊・・・彼らは元来、周辺の漁民だった。しかし欧米・亜諸国が漁場をあさり、
しかもそれら先進国が、放射能を含む産廃をこの海域に遺棄した為に海が汚染され、
やむなく海賊に転じたのだ。
それが内戦の原因となった部族の抗争と結びつき、海賊とはいえ、
今では機関銃・大砲を要する大組織となり、国も手出しができない状態である。
その海賊の背後には、もちろん兵器・軍事ビジネスで儲かる者・企業が暗躍しているのだ。
一方、ソマリアと似た状況にあったのが、ルワンダ。
ホテル ルワンダ
PKOがソマリア介入に失敗した頃に、悪名高いルワンダ大虐殺が起きた。
1994年過激派ツチ族が、フツ族・穏健派ツチ族を100日間で、総人口730万人のうち、
100万人を惨殺したのだ。
映画は、暴徒から逃れた避難民を、自分の勤務するホテルに命懸けでかくまった
ポール・ルセサバキナ氏の実話だ。
・・・人間はいつでも<狂気>をはらみ、しかし<勇気と誇り>で
それに対峙するものだ、と絶望の中にある希望を感じさせた、ほんとうに良い映画だった。
このルワンダは、内戦で隣国に避難していた良識派のツチ族自身が、これを収束させ、
その後、海外逃亡していた者が帰国し、経済成長率7%、
「アフリカの奇跡」といわれる復興を遂げている。
...しかしソマリアは、10年以上の内戦で、人々も生活も疲弊しきっている。
ソマリアの夜明けは遠いかもしれないが、必ず夜明けは来るだろう。と思う。
なぜならそのことを、ルワンダが証明してくれているから・・・
*『ホテル ルワンダ』ほんとうに好い映画です。どうぞ見て下さい。
尊敬する寿岳先生も「言わんとわからん」と仰ってました。
なので、たまには真面目に語るかめりんでした・・・